アトピー性皮膚炎:アドピー性皮膚炎は遺伝性の免疫異常によって起こるアレルギー性皮膚炎です。
乳児期は食物アレルギーが主たる原因で、卵、牛乳、大豆が3大アレルゲンと言われています。
幼児期になるとハウスダスト(ダニ)や花粉、動物などの環境アレルギーが加わります。
成人期では環境アレルギーが強くなりますが、食物アレルギーは乳幼児期とは異なり穀物や野菜、魚類など主食が多くなります。これは外食が多くなり食品添加物など化学物質の摂取が多くなることが要因です。
当院の特徴はこれらアレルギーの原因物質を特定することです。
IgE抗体検査、アレルゲン皮内注射、パッチテスト(化粧品、石鹸、シャンプー、金属など)などを組み合わせて幅広く、精密な検索を行っています。
皮膚炎の原因を見つけることによりそれに対する生活指導を行い、ステロイド剤からの離脱可能な治療を心掛けています。
最近では重症例にIgG4モノクローナル抗体(デュピルマブ:デュピクセント®)による免疫療法で高い効果が得られています。
花粉症や気管支喘息もアトピー性の疾患です。
アトピー性皮膚炎同様に原因アレルゲンに対する生活指導を行い、重症例に対してはアレルギーに対する唯一の根治治療といえる減感作療法(注射により中和法)を行っています。
じんましんの特徴は、皮膚の一部が膨らんだ発疹(膨疹:ぼうしん)が出現します。
膨疹の大きさはさまざまです。1~2mmから、手足全体を覆うものまで存在します。形状についても同様で、「円形」「不定形」「線状」「花弁状」「地図状」など多岐にわたり、決まった特徴はありません。これらは数十分~数時間で消失します。しかし症状によっては出たり消えたりします。24時間以上消えずに持続する場合は他の疾患を考えます。自覚症状としては、「かゆみ」「チクチクした痛み」「焼けるような感覚(熱感)」などが知られています。
原因は物理的なものから精神的なものまで数多く存在しています。日常的に触れるもの、避けられないものも原因となります。症状は原因による差はあまりありませんが、頻度やあらわれ方に違いがあります。
じんましんには多数の病型が存在しますが、抗ヒスタミン薬の内服は病型を問わず、基本的な治療方針となります。抗ヒスタミン薬には第1世代、第2世代が存在しますが、副作用が少なく、鎮静作用の低い第2世代が、じんましん治療の第一選択となります。
抗ヒスタミン薬の作用には個人差があるため、最初に処方した薬剤が奏功(そうこう:成果が出ること)しなくても、処方を工夫することで効果が得られる場合があります。
薬剤の種類を変更するほか、2剤併用にする、増量するなどの手段が考えられます。
アレルギー性、非アレルギー性を問わず、原因となる物質が明らかな場合は、原因を遠ざけることが予防の基本になります。
もちろん、物理性じんましんであれば、誘発要因となる刺激を避けることが予防になります。
当院では病歴聴取と皮内テスト、採血検査で可能な原因検索を行い、対策を行っています。
じんましんの中で、特にアナフィラキシーのリスクが高いのは、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」です。
アレルゲンとなる特定の食べ物を摂取したあと、2~3時間で激しい運動をしたときに、アナフィラキシーショックをおこします。
日本人の場合、鶏卵、小麦、牛乳、甲殻類、そば、ピーナッツ、ナッツ類、ゴマ、大豆、果物などが原因になることが多いです。
難治性の症状の場合には生物学的製剤であるゾレア®の注射も行っているのでご相談下さい。
花粉症とは、飛散した花粉に触れたり吸入したことにより生じるアレルギー反応の事を言います。
一般的には鼻水や鼻づまりが出る鼻炎や、目が痒くなる結膜炎があります。
しかしアレルギー反応体のどこにでも生じる可能性があり花粉飛散の時期だけに出る皮膚炎、かゆみ、胃腸症状なども花粉が原因の可能性があります。
主な花粉は春にはスギ、シラカンバ、ハンノキ、ヒノキがあり、秋にはカモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどが挙げられますが他にも拡散の種類が存在しています。
対症療法として抗ヒスタミン剤や抗ロイコトリエン剤の内服や点鼻、点眼、軟膏治療を行います。
根本的治療として原因花粉が判明した場合は定期的に投与して抵抗力を獲得する減感作療法があります。
当院では注射による減感作療法(中和法)を行なっています。
お気軽にご相談ください
また基本的にはアレルギー疾患なので生活リズムを崩さず、食生活を乱さないようにし、花粉に暴露されないように、自宅では窓を開けず、空気清浄機を使用し、マスクの着用、帰宅時に直ぐにシャワーを浴びるなどの対策も行なってください。
難治性の症状の場合には生物学的製剤であるゾレア®の注射も行っているのでご相談下さい。
「いぼ」といっても以下のように様々なものがあります。
イボと思って放置していたら悪性腫瘍(日光角化症、有棘細胞癌、基底細胞癌)であることもあるので急激に増大するものや大きなイボは早めに受診してご相談下さい。
とびひは一般的に細菌による皮膚の感染症です。
ブドウ球菌や連鎖球菌などが原因菌で接触により他者にうつって火事の飛び火のようにあっという間にひろがるので「とびひ」と言われています。虫刺され、湿疹などを爪でひっかりたり、転んでしまって出来た傷に2次感染を起こしてとびひになります。小さなお子さんで鼻をほじくる癖があったり、風邪で鼻周りがあれているとその周囲からとびひが始まったりします。
近年では市中型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(CA-MRSA)による感染も増えており、難治化する例も多くみられます。当院では細菌検査を行い適切な抗生剤治療を心がけています。
当院では生活指導、刺激性皮膚炎、アレルギー性疾患の除外とともに、急性期では抗菌剤内服、外用、アダパレンや過酸化ベンゾイル等を用いて治療を行い、維持期では抗菌剤外用、アダパレン、過酸化ベンゾイルで治療を行います。
難治例ではビタミンCローションやケミカルビーリングを用いた治療も考慮します(自費診療)。
痤瘡治療の補助的内服療法としてビタミンA、ビタ ミンB2、ビタミンB6、ビタミンEが用いられます。
ビタミンAは毛包表皮の角化を、ビタミンB2 とビタミンB6 は皮脂分泌を、ビタミンE は過酸化脂質を抑制することが考えられていますがはっきりとした有用性は示されておらず難治性の場合に使用を考慮する程度と思われます。
洗顔の有効性については1日2回の洗顔で皮脂の除去を行うことです。
油性の面皰形成性のある化粧品による痤瘡の悪化は 事実であり、コメドジェニックな作用のある化粧品は避けるべきであると思われます。
極端な偏食は避け,バランスの良い食事を 摂取すると良いでしょう。
高温の液体や固体が一定時間皮膚に触れることによっておこります。
以前はポットのお湯やカップ麺やみそ汁などをこぼして受傷することが多かったですが、現在はヘアアイロンによる顔面熱傷が多いです。
また、電気毛布やカイロなどの高温と気づかなくても長時間同じ部位にあたり続けると定温熱傷を起こします。
こちらは治療が長期にわたることが多く、痛みをともなわない事が多いので注意を要します。
【やけどの種類】
当院は日本熱傷学会認定専門医が在籍しており、患者様の希望に沿った適切な治療を心掛けております。
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスが体内で活動を再開することで発症します。主に子どもの頃に、このウイルスにはじめて感染すると、水ぼうそうを発症します。水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の神経節という部位に潜んでいます。普段は体の免疫力によってウイルスの活動が抑えられているため発症することはありませんが、免疫力が低下するとウイルスは再び活動、増殖しはじめます。その後ウイルスは神経の流れに沿って神経節から皮膚へと移動し、体の片側に痛みや発疹が出る帯状疱疹を発症します。症状としては神経に沿って帯状にやや盛り上がった赤い斑点があらわれ、その後、水ぶくれができます。水ぶくれの大きさは粟粒大〜小豆大です。肩や首、腰では肩こりや腰痛と判断して湿布薬を貼付して発見が遅れることがあるので注意が必要です。一般的な合併症として、発熱や頭痛がみられることがあります。また、顔面の帯状疱疹では、角膜炎や結膜炎などを起こすことがあります。その他の合併症として、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経麻痺などが生じることがあります。これをハント症候群と呼びます。陰部にできる場合には膀胱直腸障害が出現し、排尿や排便ができにくくなることがあります。
また汎発型といって2領域以上の神経節に症状が出る場合は感染力が高く水疱瘡に準じて感染に注意が必要となります。皮膚症状とともに痛みは消えていきますが、その後もピリピリするような痛みが持続することがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。これは急性期の炎症によって神経に強い損傷が生じたことによって起こります。急性期痛は、皮膚や神経の炎症によるものですが、帯状疱疹後神経痛は神経の損傷によるものです。よって早期発見、早期治療が重要になります。
治療は坑ウィルス薬の投与と疼痛に対しての鎮痛薬投与です。皮疹に対しては軟膏で保護を行い、2次感染に注意します。ハント症候群や膀胱直腸障害を合併した場合は提携病院へ紹介させて頂きます。
帯状疱疹の診断は基本的に視診で行いますが、初発は困難な場合もあり、当院ではデルマクイック®による迅速診断も行っています。帯状疱疹を疑った場合はお気軽に受診して下さい。
単純ヘルペスウィルス(HSV)1型または2型に感染することにより皮膚や粘膜に疼痛を伴った小水疱が出現します。
HSV-1は口唇や口内炎に出現することが多く、HSV-2は陰部に出現することが多いです。
感染経路は病変を直接触れたり(接触感染)、くしゃみ・咳きや唾液などがかかって(飛沫感染)感染します。
HSVは一度感染すると神経節に潜伏し、免疫状態が低下すると症状が出現し、繰り返します。
典型的な経過としてピリピリやチクチクなどの違和感が生じてその後赤く腫れます。
その後水疱を形成してカサブタとなり治っていきます。
アトピー性皮膚炎のように湿疹病変部位に感染すると広範囲に水疱が出現して重症化します。(カポジ水痘様発疹症)
治療は坑ウイルス薬の外用または内服で症状の出はじめに対処することが望ましいです。
陰部で再発を繰り返す場合には少々の坑ウィルス薬を連日長期内服して予防する場合があります。
陰部や口腔内に水疱や、潰瘍が出現した場合はベーチェット病や梅毒等の疾患と鑑別が必要になることがあるので早めにご相談下さい。
水虫は病名としては白癬(はくせん)といいます。
感染症の一種で、白癬菌(はくせんきん)が足や手の指や足の裏、爪などに感染して痒みや炎症などが起きます。
足、手、爪以外にも体のどの部位にも付着します。
【足白癬】
検査は検体を採取し薬品を加える直接鏡検(顕微鏡での検査)KOH法で行い、5分程度で結果が出ます。
外用薬は爪の周り、趾間、足底、踵まわりまで万遍なく一日1回外用してください。
最低1カ月は塗布を続けましょう。平均的な治療期間は1~3カ月です
抗真菌薬は刺激性があるので外用して皮膚炎が生じることがあるので注意してください。
白癬は湿った環境を好むのでなるべく足は乾燥させることを心がけて下さい。
同じ靴やスリッパをはいていると再感染するので履く靴はこまめに変えましょう。
ご家族でタオルやバスマットを共有しないように心掛けてください。
【爪白癬】
爪白癬は爪に白癬菌が感染して発症します。
ほとんどの症例で、すでに足白癬を患っており、足から爪へ白癬菌がうつりすんだものです。
白癬の侵入経路より主に4つのタイプに分類されます。
①遠位・側縁部爪甲下型 爪の先が厚ぼったくなり、黄色や白色に変色してしまうタイプです。
②白色表在型 爪の表面に白い膜をつくるタイプです。
③近位部爪甲下型 爪の根元から侵されるタイプです。
④全層異形成型 爪の全体が変形してしまうタイプです。
検査は足白癬同様検体を採取し薬品を加える 直接鏡検(顕微鏡での検査)KOH法で行い、10分程度で結果が出ます。
爪白癬では皮膚と違って菌要素を見つけにくいこと、および菌の形態が不整形で判定しにくいことが多いので陰性でもなかなか治らな場合は再検査が必要です。
爪白癬の治療には内服薬(飲み薬)と外用薬(ぬり薬の抗真菌薬と呼ばれる薬)が使われます。
足白癬は外用薬で治療することが多いのですが、爪の中は白癬菌にまで薬の効果が行き渡りにくく、爪白癬の治療には抗真菌内服薬および浸透力の強い外用薬が使われます。
爪が伸びる速さは手の爪で1ヶ月に3ミリ、足の爪で1.5ミリといわれ、完全に生え替わるにはそれぞれ6ヶ月、1年以上の時間が必要です。
足、手、爪以外にも体に痒くてなかなか治らないふけの様なかさつき(鱗屑)を伴う境界がはっきりした赤みがある場合は体部白癬を疑いますので是非病院で検査してみてください。